歌野晶午さんの「絶望ノート」という小説を読みました。
その感想を書きます
感想というよりはネタバラシだけど(笑)
まず、あらすじはといいますと、
中学二年生の立刀川照音(たちかわしょおん、通称:タチション)は小学生の頃からいじめられていました
そして、そのいじめの体験や辛さ苦しさを「絶望」と題したノートにつづり続けていました
父は無職で母はパートの日々、家庭は貧乏です
心配をかけたくないあまり、誰にも照音はいじめのことを相談できませんでした
そんなある日、照音は「声」を聞きました
その声は、落ちていた石から出たものだと信じ、持ち帰って神棚を作って拝め始めました
そして何故だか、照音は絶望ノートに「是永を殺してください」と書きます
是永はいじめの主犯格であり、クラスの中心的存在の子です
その是永がノートの力のためか死んだのです
しかし、いじめは一向に止まらずかえって、どんどん悪化していきました
そのため、照音は名前をどんどん書きつけていって、級友が次々と死んでいきました
警察は照音を疑い、取り調べたが、アリバイは成立
いったい誰が是永達を殺したのでしょう?
まさかあの石に宿っていた神が?
それとも……?
以上があらすじです
注意:ネタバレ!!
まず最初に「神」は存在すると思いますか?
小説内ではジョンレノンの「神は痛みを測る概念にすぎない」と言っています
では、もしそうならばいったい誰が是永らを殺したのでしょう?
驚くことに、犯人は母なのです
実は、照音の書いた絶望ノートを偶然見てしまったのです
もちろんノートには犯人が書かれています
だから母は主犯の是永を……
ですが、もう一つ驚きがあります!
実は最初からいじめなど存在していなかったのです
ノートから何まですべて照音の作った嘘なのです
照音と是永達は本当に仲の良い親友だったのです
ではなぜ、わざわざ嘘のノートなんか作ったりしたのでしょう?
母はずっとパート、父はジョンレノンにしか興味がない
そんな両親からの愛情を確かめるためにやったのです
だから、ノートは偶然ではなく見られるように仕向けてあったのです
つまり、友達の是永達を殺させてまで、両親の愛情を確かめたかったのです
それほど照音は不安だったのです
照音は中二、僕より一つ年上ですが、こんなことを思いつくのはすごいと思いました
僕だったらこんな方法思いつきません(笑)
まぁ、結果的に母からの愛はあったと分かります
一方、父はいじめのことを知ってもなお、ジョンレノン一筋(?)で照音を助けようとしませんでした
そんな父がひどいと思います
また、照音は愛情を確かめると同時に、友達との友情を失ってしまいました
犠牲になったのは是永達……
是永達には何の罪もありません
だから、考え方によっては是永達が一番かわいそうだと思いました
最後の最後まで驚かされるストーリーでした